早速、地域包括支援センターで紹介してもらったクリニックに電話をして予約をとった。
ウタロ母も自覚症状があるのでクリニック受診に対して乗り気ではあったが、息子に付添われるのは少し抵抗があるようだ。
当日、「多分大げさなんだけど、ウタロたちが心配して一生懸命やってくれるからさぁ、心配してくれてるうちが華だわ、付き合うわよ!」と言いながらお出かけの支度は軽やかに進んだ。
4月の快晴、気候は暖かく穏やかでピクニックにはいい日だ。
ウタロ「お母さん、クリニック行くには良い日だね、クリニック日和だ!」
ウタロ母「何言ってんのよ、調子良いわね。」
こんな会話をしたかは覚えてないが、ウタロ母と二人でお出かけするのはいつぶりだろう…思い浮かぶのは中学生くらいの頃だ、もう20数年前になるのかな〜。自転車で前を行くウタロ母を必死で追いかける映像が頭を流れた。
クリニックは最寄り駅の隣の駅にあり、ウタロ母が大好きな猫の雑貨屋さんがある通り沿いにある。
ウタロ母「どこに向かえばいいの?」
ウタロ「猫の雑貨屋さんの通り沿いにあるよ。」
ウタロ母「じゃあ、そこに向かうから猫の雑貨屋さんからはウタロが前を行って!」
ウタロ「わかった。」
何故か前を走りたがる…
終着がわからないなら、最初から後をついてくでいいじゃん…とか考えていたらピューっと出発してしまった…
自転車で前を行く母の後ろを追いかけながら、中学生の頃を思い出し懐しくなった。
こんな風に母と自転車で出かける事はもうこの通院で最後になるのかなと思うと、母の後ろ姿を携帯のカメラに収めとこうと思った。
あの頃より白髪の増したウタロ母の後ろ姿を追走しながらカメラを向けた。
が…なかなか難しい。上手く画面に収まらない。
そう…前を行くウタロ母のスピード異常に速い!!
これから病院に向かう人のスピードではない。
思い起こせば小さい頃、自転車で前を行くウタロ母を必死で追いかける映像は、本当に必死だったのだ。
前を行くウタロ母のスピードが速く、撒かれないよう必死に追いかけていたのだ。
小道のT字路、十字路はノンストップ、ゆったりと移動する歩行者をスルスルとかわして進んでいく。
以前、ウタロ父がウタロ母のことを「チャリンコ暴走族」と揶揄していたけどその通りだ。
電動自転車が無かった一昔前の主婦は、あのママチャリで二人くらい乗せて走ってたと思うと凄い…とウタロ妻と話していたが、その実力をまざまざ見せつけられた。
今はお互い電動自転車に乗っているがその力は変わらない。
よく今まで事故が起きなかったなぁ…。
と思いながら、道中半ばくらいのところで前を行くウタロ母が急にストップ!!!
ゆっくりと振り返り、何か怖いものでも見るような顔でウタロを見てこう言った。
ウタロ母「どこに行くんだっけ?」
受診をする前だが、もう診断が出た気がした。
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